傷あと(瘢痕・瘢痕拘縮)の治療

けがや手術、やけどのあとの傷あとが目立つ、引きつれて動かしにくい、というお悩みは、形成外科で診ることができます。

当院は形成外科のクリニックです。傷あとの種類と、時間がたってどこまで落ち着くかを見きわめて、手当て・薬・手術から、状態に合った方法をご提案します。引きつれ(瘢痕拘縮)の手術などは保険診療です。

形成外科のクリニックで、医師が診察し、治療を行います

傷あとの種類瘢痕拘縮とは治療の時期治療手術の方法保険と自費手術のあとよくある質問

はじめに知っておきたいこと

傷あと(瘢痕)とは?
傷が治るときに、傷あとをつくる組織(コラーゲンなど)で、すき間がふさがった所です。一度できた傷あとを、元の皮膚と同じに戻すことはできません。
治療で何をする?
傷あとの幅・向き・段差・引きつれを整えて、目立ちにくく、動かしやすくすることを目指します。
いつ治療する?
傷あとは時間とともに落ち着いていくため、手術はふつう、傷あとが落ち着いてから考えます。時期を見る
保険は使える?
引きつれで動きが制限されている場合などは保険診療です。見た目だけを整える場合は、保険の対象にならないことがあります。保険と自費
盛り上がった傷あとは?
赤く盛り上がった傷あと(ケロイド・肥厚性瘢痕)は、ケロイド・肥厚性瘢痕のページでご説明します。

傷あとの種類

傷あとは、ひとくちに言っても、いくつかの種類があります。種類によって、時間とともにどう変わるか、どんな治療が合うかが違います。

種類見え方治療の考え方
成熟瘢痕時間がたって、白く平らに落ち着いた傷あと幅が広い・目立つ向きにある・段差があるときに、手術で整えることを考えます
肥厚性瘢痕赤く盛り上がるが、もとの傷の範囲の中にとどまる貼り薬・圧迫などで落ち着かせます(ケロイドのページ)
ケロイド赤く盛り上がり、もとの傷の範囲を越えて広がる薬・注射・手術などを組み合わせます(ケロイドのページ)
瘢痕拘縮傷あとが縮んで、まわりの皮膚や関節を引っぱる引きつれをゆるめる手術を考えます
へこんだ傷あと傷あとが周りより低く、へこんで見える状態に合わせて、手術などを考えます

ひとつの傷あとに、いくつかの性質が重なっていることもあります。まず診察で、どの種類の傷あとかを見きわめます。

下の図は、傷あとの種類ごとの断面を表した模式図です。

皮膚の断面の模式図4つ。白く平らな成熟した傷あと、傷の範囲の中で盛り上がる肥厚性瘢痕、範囲を越えて広がるケロイド、縮んで周りを引っぱる瘢痕拘縮

瘢痕拘縮(引きつれ)とは

傷あとは、治る途中で縮む性質があります。傷あとが関節や首、指、まぶた、口のまわりなどにあると、縮んだ傷あとがまわりの皮膚を引っぱり、動かしにくくなることがあります。これを瘢痕拘縮といいます。

とくに、関節の曲がる向きと交わるように走る傷あとや、やけどのように広い範囲の傷あとで起こりやすくなります。指や関節の引きつれは、曲げ伸ばしがしにくくなり、日常の動作に影響することがあります。

まぶたや口のまわりの引きつれでは、目が閉じにくい・口が開きにくい・まぶたや唇がめくれる、といったことが起こることもあります。

  • 関節を伸ばしたとき・曲げたときに、傷あとが突っぱる
  • 傷あとが一本のひものように張って見える
  • 首を反らしにくい・指が伸びきらない
  • まぶたや唇が、傷あとに引っぱられて形が変わっている

きっかけ別の傷あと

けがの傷あと

転んだ・切った・ぶつけた、などのけがの傷あとは、傷の形がまっすぐでないことや、すり傷のように面で残ることがあります。傷の中に砂や小石が残ったまま治ると、黒っぽい色が残ることもあります(外傷性刺青)。

手術の傷あと

帝王切開や、おなか・胸の手術、首の手術などの傷あとは、まっすぐな線で残ることが多い一方、動くたびに引っぱられる場所では、幅が広がったり盛り上がったりすることがあります。

やけどの傷あと

やけどのあとは、範囲が広いことが多く、色の変化や、引きつれ(瘢痕拘縮)が起こりやすい傷あとです。関節や首にかかるやけどのあとは、動きの制限が出ていないかを確かめます。

にきび・水ぼうそうのあと

にきびや水ぼうそうのあとは、小さくへこんだ傷あとや、赤く盛り上がった傷あとになることがあります。盛り上がったものはケロイドのページを、へこんだものは診察でご相談ください。

受診の目安

  • 傷あとが引きつれて、関節や首、指が動かしにくい
  • まぶたや唇が、傷あとに引っぱられて形が変わっている
  • 傷あとの幅が広い・段差がある・目立つ向きにある
  • 傷あとが赤く盛り上がってきた・かゆい・痛い
  • けがの傷あとに、黒っぽい色が残っている

治療の時期を考えるためにも、気になる傷あとがあれば、早めに一度ご相談ください。

治療を始める時期

傷あとは、傷がふさがってから数か月の間は赤く硬く、その後、時間をかけて白く平らにやわらかくなっていきます。この変化が落ち着くまでには、長い時間がかかります。

そのため、見た目を整える手術は、ふつう傷あとが落ち着いてから考えます。落ち着く前に手術をすると、新しい傷あとも同じように赤く硬い時期を通るためです。

一方で、引きつれで動きが制限されている場合や、まぶたが閉じにくいなど生活に支障がある場合は、落ち着くのを待たずに治療を考えることがあります。

傷あとが落ち着くまでの間も、テープで傷を固定する・紫外線を避ける・赤く盛り上がってきたら早めに受診する、などの手当てで、傷あとの仕上がりに差が出ることがあります。

治療(手術以外)

テープでの固定

傷が治ったあとも、しばらくは傷あとにかかる力をテープで減らすと、傷あとが広がったり盛り上がったりするのを防ぐことにつながります。とくに、胸や肩、関節のまわりなど、動くたびに引っぱられる場所の傷に大切です。

紫外線を避ける

赤みのある時期の傷あとに強い日差しが当たると、茶色っぽく色が残ることがあります。傷あとが落ち着くまでは、衣服や日焼け止め、テープで紫外線を避けることをおすすめします。

薬

赤く盛り上がってくる傷あとには、炎症を抑える貼り薬や、かゆみ・痛みをやわらげる飲み薬を用いることがあります。くわしくはケロイド・肥厚性瘢痕のページをご覧ください。

ほかの方法

傷あとの赤みや色には、レーザーなどが使われることもありますが、健康保険の対象にならないものが多くあります。

手術の方法

傷あとの手術は、傷あとを切り取って縫い直すだけでなく、傷あとの向きを変えたり、引きつれをゆるめたりして、目立ちにくく、動かしやすくすることを目指します。どの方法が合うかは、傷あとの場所・大きさ・向き・引きつれの強さで決めます。

切り取って縫い直す(単純縫縮)

幅の広い傷あとや、段差のある傷あとを切り取り、皮膚の奥から丁寧に縫い合わせ直します。皮膚の浅い層と深い層を分けて縫い、傷あとに力がかかりにくくすることで、新しい傷あとが細く落ち着くようにします。

Z形成術

傷あとに沿って、Z の字の形に切り込みを入れ、2つの三角形の皮膚を入れ替えて縫う方法です。傷あとの向きを変えることができ、縮んだ方向の長さを伸ばすことができます。

形成外科の診療ガイドラインでも、Z形成術で瘢痕拘縮の改善ができるとされています。関節や首などの引きつれ、まぶたや口のまわりの引きつれに用いられます。

下の図は、Z形成術で切り込みを入れ、2つの三角形を入れ替えるようすを表した模式図です。

Z形成術の模式図3コマ。縮んだ傷あとの両端に反対向きの切り込みを入れ、2つの三角形を入れ替えると、傷あとの向きが変わり縮む方向が伸びる

W形成術

傷あとの両側を、ぎざぎざの W の字が続く形に切り取り、かみ合わせるように縫う方法です。まっすぐな長い傷あとを、細かいジグザグの線にすることで、光の当たり方が分散し、目立ちにくくなることを目指します。顔の傷あとなどに用いられます。

皮膚を移す(植皮・皮弁)

やけどのあとなど、引きつれが強く、まわりの皮膚だけでは足りない場合は、体のほかの所から皮膚を移す(植皮)や、近くの皮膚を血の通ったまま動かす(皮弁)方法を考えます。範囲が広い場合は、設備のある病院をご紹介することがあります。

保険と自費

引きつれで関節などの動きが制限されている傷あと(瘢痕拘縮)の手術は、保険診療です。点数表では、瘢痕拘縮形成手術は「単なる拘縮に止まらず運動制限を伴うものに限り」算定する、と決められています。

一方、動きの制限はなく、見た目だけを整えたい成熟瘢痕は、健康保険の対象にならないことが多くあります。どちらに当たるかは、診察で傷あとの状態を見て、ご説明します。見た目だけを整える目的の手術は、健康保険の対象になりません。行えるかどうかと費用は、診察でご説明します。

手術点数(令和8年度)3割負担の目安
瘢痕拘縮形成手術(顔)12,660点37,980円
瘢痕拘縮形成手術(顔以外)8,060点24,180円

表の金額は手術料だけの目安です。実際には、診察料・麻酔・お薬・病理検査などが加わります。指の引きつれは、別の区分になります。

手術の流れ

ステップ内容
1 診察傷あとの種類・向き・引きつれの強さ・動きの制限を見ます。傷ができたきっかけと時期、これまでの治療をお聞きします。
2 手術の相談手術の方法・新しい傷あとの位置と長さ・保険か自費か・費用・起こりうることをご説明し、手術の日を決めます。
3 手術局所麻酔で日帰りの手術を行います。
4 抜糸抜糸の時期は、傷の場所によって変わります。抜糸は1〜2週間ほどが目安で、抜糸のあとしばらく、テープで固定することがあります。
5 経過新しい傷あとが落ち着くまで、テープでの固定などを続け、経過を見ていきます。

手術のあとの手当てとリスク

手術のあとの手当て

新しい傷あとも、落ち着くまでに時間がかかります。この間、テープで傷あとを固定して力を減らし、紫外線を避けることが、仕上がりのために大切です。

新しい傷あとが赤く盛り上がってきたときは、早めにご相談ください。貼り薬などで早く手当てをします。

起こりうること

時期起こりうること
手術のあと数日痛み・腫れ・内出血・出血
治る途中感染・傷が開く・縫った糸の反応
治ったあと新しい傷あとの赤み・盛り上がり(肥厚性瘢痕・ケロイド)・色の変化・感覚の鈍さ・引きつれの再発

傷あとの手術は、傷あとを消す手術ではありません。新しい傷あとは残りますが、その幅・向き・引きつれを整えることを目指します。ケロイドができやすい体質の方は、手術の前にお知らせください。

よくある質問

傷あとは消せますか?
一度できた傷あとを、元の皮膚と同じに戻すことはできません。治療では、傷あとの幅・向き・段差・引きつれを整えて、目立ちにくく、動かしやすくすることを目指します。
いつ治療を受ければいいですか?
見た目を整える手術は、ふつう傷あとが落ち着いてから考えます。引きつれで動きが制限されているときは、早めに治療を考えることがあります。まずはご相談ください。
保険は使えますか?
引きつれで動きが制限されている場合などは保険診療です。見た目だけを整える場合は、保険の対象にならないことがあります。
手術は痛いですか?
局所麻酔をしてから手術をします。麻酔の注射のときにチクッとした痛みがあります(感じ方には個人差があります)。
入院は必要ですか?
局所麻酔の日帰りの手術を考えます。範囲が広いなど入院が必要な手術は、設備のある病院をご紹介します。
子どものころの傷あとでも治療できますか?
治療できます。古い傷あとでも、幅や向き、引きつれを整える手術を考えることができます。
やけどの傷あとも診てもらえますか?
診ることができます。やけどのあとは、引きつれ(瘢痕拘縮)が起こりやすいため、早めにご相談ください。
手術の傷あとが目立ちます。
手術のあとの傷あとも治療の対象です。傷あとが落ち着く時期かどうかを見て、ご相談します。
手術のあと、どのくらい通院しますか?
抜糸までと、その後の経過を見るための通院があります。回数は、手術の方法と傷の場所によって変わります。
傷あとが赤く盛り上がってきました。
肥厚性瘢痕やケロイドのことがあります。ケロイド・肥厚性瘢痕のページもご覧のうえ、早めにご相談ください。
メイクで隠せますか?
傷あとをカバーするメイクの方法もあります。治療とあわせてご相談ください。

料金表・アクセス

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〈診療時間〉
月・火・水・金 9:30~17:30 / 土曜 10:00~13:30
※受付は診察終了の30分前までです。
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当院は保険・自費診療とも完全予約制となります。
当日診療ご希望の際はお電話を頂ければと存じます。

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