湿疹・かぶれ(皮膚炎)の治療

かゆみのある赤いぶつぶつ、じゅくじゅく、かさかさ、手荒れ。こうした皮膚の炎症をまとめて、湿疹(皮膚炎)といいます。何かに触れて起こるものは、かぶれ(接触皮膚炎)と呼ばれます。

当院では、皮膚科として、飲み薬や塗り薬を中心に、湿疹やかぶれの治療を保険診療で行っています。このページでは、湿疹とかぶれの違い、原因の探し方、塗り薬の正しい使い方、ステロイドへの不安、市販薬との違い、受診の目安をまとめています。

形成外科・皮膚科のクリニックで、医師が診察し、治療を行います

はじめに湿疹とはかぶれ手湿疹そのほかの湿疹治療塗り薬の使い方ステロイドへの不安パッチテスト市販薬との違い受診の目安よくある質問

はじめに知っておきたいこと

湿疹とは
かゆみを伴う皮膚の炎症の総称です。赤み・ぶつぶつ・水ぶくれ・かさかさなど、見え方が変わっていきます。
いちばん大切なこと
原因を見つけて、避けることです。かぶれは、原因との接触を断てれば治すことができる病気です。
治療
炎症とかゆみを抑える塗り薬(ステロイド外用薬など)と、保湿が中心です。かゆみが強いときは、飲み薬を使うことがあります。
保険
湿疹・かぶれの診察と治療は、保険診療です。

湿疹(皮膚炎)とは

日本皮膚科学会の診療ガイドラインでは、湿疹は、外からの刺激や体の内側の要因によって、皮膚の表面に近い層に起こる、かゆみやヒリヒリ感を伴う炎症とされています。赤み(紅斑)、小さなぶつぶつ(丘疹)、小さな水ぶくれ(小水疱)から、皮膚が厚くごわごわした状態(苔癬化)まで、見え方が変わっていくのが特徴です。

湿疹は、皮膚科を受診する人の中でも、とても多い病気です。日本皮膚科学会が全国の皮膚科で行った調べ(2007〜2008年・約6万7千人)では、受診した人の約4割が、湿疹のなかまの病気でした。

主な湿疹特徴
かぶれ(接触皮膚炎)何かに触れた所に起こる
手湿疹(手荒れ)水仕事や洗剤などで、手に起こる
脂漏性皮膚炎頭・顔・耳のまわりなど、皮脂の多い所に、フケのような皮むけと赤みが出る
貨幣状湿疹コインのような丸い形の湿疹が、腕や足などにでき、かゆみが強い
アトピー性皮膚炎良くなったり悪くなったりをくり返す、かゆみの強い湿疹

下の図は、湿疹の見え方が変わっていくようすを表した模式図です。

皮膚の表面のイラスト4つ。赤み(紅斑)・小さなぶつぶつ(丘疹)・小さな水ぶくれ(小水疱)・皮膚が厚くごわごわした状態(苔癬化)

かぶれ(接触皮膚炎)

かぶれは、皮膚に触れたものが原因で起こる湿疹です。大きく、刺激によるかぶれと、アレルギーによるかぶれに分けられます。

種類特徴
刺激によるかぶれ洗剤・せっけん・薬品など、刺激の強いものが皮膚のバリアを傷つけて起こる。誰にでも起こりうる
アレルギーによるかぶれ体が一度その物質を覚えると(感作)、次に少し触れただけで起こる。触れた所をこえて広がることがある

原因になりやすいもの

  • 化粧品・毛染め・日焼け止め・シャンプー
  • 塗り薬・湿布などの外用薬
  • ピアス・ネックレス・ベルトの金具などの金属(ニッケルなど)
  • ゴム手袋
  • 植物(うるしなど)

ガイドラインで紹介されている調べ(2016〜2017年)では、アレルギーによるかぶれの原因となった製品の半分以上が、化粧品でした。耳のまわりの皮膚炎は、ピアスによる金属アレルギーのことがあります。毛染めのかぶれは、頭よりも顔や首に強く出ることがあります。

何度もくり返すと、触れた所だけでなく、全身に湿疹が広がることもあります(接触皮膚炎症候群)。

手湿疹(手荒れ)

手湿疹は、手にできる湿疹です。ガイドラインでは、手湿疹の約7割が、刺激によるかぶれとされています。水仕事・洗剤・消毒・紙や布をよく触る仕事などで、皮膚のバリアがこわれて起こります。理容師・美容師、看護師、調理の仕事などで起こりやすいとされています。

かさかさしてひび割れるもの、指の側面に小さな水ぶくれができるもの、手の甲に丸い湿疹ができるものなど、いくつかの型があります。

手を守るために

  • 水仕事のときは手袋を使う(ゴム手袋の下に綿の手袋をつけると、かぶれを防げることがあります)
  • 手袋は長時間つけっぱなしにしない(長くつけると、かえって皮膚のバリアが弱くなります)
  • 手を洗ったあとや寝る前に、保湿剤をこまめに塗る
  • ゴム手袋そのものでかぶれることもあるので、合わないときはご相談ください

そのほかの湿疹

脂漏性皮膚炎

頭・顔・髪の生えぎわ・耳のまわりなど、皮脂の多い所に、赤みと、脂っぽい黄色い皮むけやフケが出る病気です。皮膚にいるカビのなかま(マラセチア)が関わっていると考えられています。

貨幣状湿疹

コインのような丸い形の湿疹が、腕や足の後ろ側・おしり・体などにでき、かゆみが強く、長引きやすい湿疹です。

アトピー性皮膚炎

良くなったり悪くなったりをくり返す、かゆみのある湿疹が主な病気で、多くの方は、アトピーになりやすい体質をもっています。当院でも保険診療で治療しています。

治療の流れ

ガイドラインでは、かぶれは、原因をはっきりさせて、その原因との接触を断つことができれば、治すことができる病気とされています。原因を見逃して、症状を抑える治療だけを続けると、塗り薬を長く使うことになり、副作用のもとになります。

流れ内容
1. 原因を探すいつ・どこに・何に触れたかをお聞きし、見え方や場所から原因を考えます
2. 原因を避ける原因と考えられるものを、できるだけ避けます。代わりに使えるものをご提案します
3. 炎症を抑える症状と場所に合った強さの塗り薬で、炎症とかゆみを抑えます。保湿もあわせて行います
4. かゆみを抑えるかゆみが強いときは、かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)を使います
5. 原因を調べる治療しても良くならない・くり返すときは、パッチテストで原因を調べることを考えます(当院では行っていないため、行っている医療機関をご紹介します)

ガイドラインの治療の流れでは、原因を避けて治療をしても、2週間ほどで良くならないときは、原因をくわしく調べることがすすめられています。

塗り薬(ステロイド外用薬)の使い方

湿疹の治療の中心は、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬)です。日本では、効き目の強さによって、ストロンゲスト・ベリーストロング・ストロング・ミディアム・ウィークの5段階に分けられています。症状の重さと塗る場所に合わせて、強さを選びます。

塗る量の目安

人差し指の先から第一関節まで、チューブから出した量(約0.5g)で、大人の両手のひら2枚分の広さに塗るのが目安です(フィンガーチップユニット)。少なすぎると、十分に効きません。

塗り薬の量の目安のイラスト。人差し指の先から第一関節までの量の軟膏を、手のひら2枚分の広さに塗る

塗り方のこつ

  • 悪いときは、1日2回(朝と、夜のお風呂のあと)塗ります。良くなってきたら、回数を減らしていきます
  • 顔や首は、薬が吸収されやすい場所です。顔には、弱めの強さの薬を使うことが多くあります
  • 良くなったからといって、自己判断で急にやめないでください。少しずつ減らしていきます
  • 保湿剤もあわせて使い、皮膚のバリアを守ります

薬の強さは、症状の重さと塗る場所を見て、医師が選びます。

ステロイドへの不安について

ステロイドの塗り薬に、不安を感じる方は少なくありません。ガイドラインでは、不安の多くは、飲み薬のステロイドの副作用との混同や、湿疹そのものの悪化と副作用との混同から生まれている、とされています。

ステロイドの塗り薬にも、副作用はあります。長く使うと、塗った所の皮膚が薄くなる、細い血管が浮いて見える、ニキビのようなものができる、などが起こることがあります。多くは、薬をやめたり、適切に対応したりすることで戻りますが、皮膚の線(皮膚線条)は戻りにくいとされています。

一方で、ガイドラインでは、正しい強さ・量・期間で使えば、ふだんの使い方で、体全体の副作用は通常起こらない、とされています。また、塗ったあとに残る茶色い色は、湿疹の炎症が続いたことによる色素沈着で、ステロイドのせいではない、とされています。

怖がってきちんと塗らないと、炎症を十分に抑えられず、かえって使う期間や量が増えてしまうことがあります。疑問や不安があるときは、遠慮なくお聞きください。

原因を調べる検査(パッチテスト)

かぶれの原因を調べる検査に、パッチテストがあります。原因と考えられる物質を背中に貼って、2日ほどたってから反応を見る検査で、日本皮膚科学会のガイドラインでは、アレルギーによるかぶれの診断に、もっとも役に立つ検査とされています。ただし、必ず原因が分かるわけではありません。

当院では、パッチテストは行っていません。原因をくわしく調べる必要があるときは、パッチテストを行っている医療機関をご紹介します。

市販薬との違い

病院で処方される塗り薬と同じ成分の薬が、薬局で買えることもあります。ただし、同じものだけでなく、ほかの成分が入っているものもあります。

市販の塗り薬の説明書では、目や目のまわり、化膿している所、水虫などには使わないこと、顔に広く使わないこと、長く続けて使わないこと、5〜6日使っても良くならないときは使うのをやめて相談すること、とされています。

塗り薬そのものでかぶれることもあります。市販薬を使って、かえって悪くなったときも、ご相談ください。

皮膚科を受診してほしい目安

  • 市販薬を5〜6日使っても、良くならない
  • 広い範囲に出ている、じゅくじゅく・ただれがひどい
  • 目や目のまわり、顔にひどく出ている
  • 触れた所をこえて、体に広がってきた
  • 何度もくり返す・原因が分からない
  • かゆみで眠れない

目や唇の粘膜がひどくただれる、皮膚が広くはがれるなどのときは、重い薬のアレルギーのことがあります。すぐに医療機関を受診してください。

受診の流れ

流れ内容
1. 診察いつから・どこに・何に触れたか・使っている化粧品や薬をお聞きし、皮膚を見ます
2. 見分けとびひ・水虫など、湿疹に見た目が似たうつる病気でないかを見分けます
3. 治療塗り薬・飲み薬・保湿剤を処方し、使い方をご説明します
4. 再診良くなり具合を見て、薬の強さや量を調整します

使っている化粧品・塗り薬などは、受診のときにお持ちいただくと、原因を考える手がかりになります。

よくある質問

湿疹はうつりますか?
湿疹そのものは、人にうつる病気ではありません。ただし、とびひや水虫など、見た目が湿疹に似ていて、うつる病気もあります。診察で見分けます。
ステロイドの塗り薬は怖くないですか?
副作用はありますが、正しい強さ・量・期間で使えば、ふだんの使い方で体全体の副作用は通常起こらないとされています。不安なことは、診察でお聞きください。
塗り薬はどのくらいの量を塗ればいいですか?
人差し指の先から第一関節まで出した量(約0.5g)で、大人の両手のひら2枚分の広さが目安です。少なすぎると、十分に効きません。
良くなったら、すぐに塗るのをやめてもいいですか?
急にやめると、ぶり返すことがあります。良くなり具合を見ながら、塗る回数を減らしていきます。
お風呂には入ってもいいですか?
皮膚を清潔にするため、入浴やシャワーはしてください。刺激の少ないせっけんで、こすらずに軽く洗い、お風呂のあとに薬や保湿剤を塗ります。
化粧はしてもいいですか?
化粧品がかぶれの原因になっていることもあります。湿疹が出ている所への化粧は、診察でご相談ください。お使いの化粧品をお持ちいただくと、原因を考える手がかりになります。
金属アレルギーかもしれません。
ピアスやアクセサリーなどの金属で、かぶれることがあります。原因を調べる検査にパッチテストがあり、必要なときは、行っている医療機関をご紹介します。金属を含む食べ物を厳しく制限すると、体に必要なミネラルが不足することがあるため、自己判断での食事の制限はおすすめしません。
手荒れがなかなか治りません。
水仕事のときの手袋、こまめな保湿、合った強さの塗り薬で治療します。治りにくいときは、かぶれの原因がないかを調べます。
市販薬を使っているのに良くなりません。
5〜6日使っても良くならないときは、市販薬をやめて受診してください。湿疹でない病気(水虫など)のことや、薬そのものでかぶれていることもあります。
子どもの湿疹も診てもらえますか?
はい。赤ちゃんから診ています。年齢を問わずご相談ください。
保険は使えますか?
湿疹・かぶれの診察・治療は、健康保険が使えます。

参考にした資料

日本皮膚科学会.接触皮膚炎診療ガイドライン2020.日本皮膚科学会雑誌 130(4)(2020)

日本皮膚科学会・日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会.手湿疹診療ガイドライン.日本皮膚科学会雑誌 128(3)(2018)

日本皮膚科学会・日本アレルギー学会.アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024.日本皮膚科学会雑誌 134(11)(2024)

日本皮膚科学会.皮膚科Q&A(かぶれ・アトピー性皮膚炎・皮膚科領域の薬の使い方)

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