医療機関でピアスの穴を開けるということ
ピアスの穴あけは、針で皮膚を貫いて、金属を体の中に通す処置です。皮膚に傷をつけるため、感染や出血、金属へのかぶれ、傷あとの盛り上がり(ケロイド)などが起こることがあります。
当院では、医療機関の設備で、滅菌した器具とピアスを使って穴を開けます。開ける前に、耳の形や皮膚の状態、これまでのケロイドや金属アレルギーの有無を確かめます。
医療機関で開けても、トラブルがまったく起こらないわけではありません。起こったときに、診察して手当てができることが、医療機関で開ける利点の1つです。
開けられる所(耳たぶと軟骨)
当院では、耳たぶと、ピアスガンで開けられる範囲の軟骨に、穴あけを行っています。ピアスガンで開けられない所には開けていません。
耳は、上のほうに軟骨があり、耳たぶには軟骨がありません。
下の図は、耳を外側から見た模式図です。

形成外科の診療ガイドラインでは、耳の軟骨のある所(耳介部)は、耳たぶよりケロイドができやすいとされています。軟骨は血の流れが少なく、感染を起こしやすいことも関係していると考えられています。
軟骨に開けたい方には、開ける前に、こうした起こりやすさについてもご説明します。
使うピアスの素材と金属アレルギー
ファーストピアスは、当院で用意しています。滅菌されたチタン製や医療用ステンレス製で、いくつかの種類からお選びいただけます。
金属アレルギーは、汗などで溶け出した金属が皮膚に触れて起こる、かぶれの一種です。ピアスの穴は皮膚の中に金属が入るため、かぶれのきっかけになることがあります。とくにニッケルは、かぶれの原因になりやすい金属として知られています。
診療ガイドラインでも、ピアスは抗原性の低い(かぶれを起こしにくい)材質を使うべきとされています。ただし、どの素材でもかぶれがまったく起こらないわけではありません。ステンレスにも、ニッケルを含むものがあります。
金属アレルギーがある方
これまでに、アクセサリーや時計のベルト、ベルトの金具などで、かぶれたことがある方は、開ける前にお知らせください。どの金属でかぶれたかが分かれば、素材を選ぶ参考になります。金属アレルギーのある方は、穴あけを受けられないことがあります。
開ける位置の決め方
耳たぶの大きさや厚み、形は、人によって、また左右でも違います。
耳たぶに開けるときは、耳たぶの端に近すぎると裂けやすいため、端に寄りすぎない位置に決めます。
軟骨に開けるときは、耳のふち(耳輪)の巻き込んでいる所を避けるなど、注意して位置を決めます。
当院では、鏡を見ながら、正面から見たときの左右の高さ、付けたいピアスの大きさ、ふだんの髪型などをお聞きして、位置を決めます。2つ以上の穴を開けたい方は、穴と穴の間隔もこのときに決めます。1回に開けられる数に、決まった上限はありません。ピアスとピアスの間が近くなりすぎないように、間をあけて開けます。
穴あけの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 問診 | ケロイドができたことがあるか、金属アレルギー、持病・お薬、妊娠・授乳の有無をお聞きします。 |
| 2 位置を決める | 鏡を見ながら、開ける位置をご一緒に決め、皮膚に印をつけます。左右の高さもこのときに確かめます。 |
| 3 消毒 | 開ける所の表と裏を消毒します。 |
| 4 穴あけ | ピアスガンで開け、そのままファーストピアスが付いた状態になります。一瞬の処置です。開けたあと、しばらく痛みがあります。痛みの感じ方には個人差があります。 |
| 5 ケアのご説明 | 開けたあとの過ごし方と、トラブルのときの連絡のしかたをお伝えします。 |
位置は、あとから変えることができません。耳の大きさや厚み、付けたいピアスの形、髪型なども考えて、納得のいく位置を決めてから開けます。
穴が落ち着くまで
ピアスの穴は、開けた直後は、皮膚に開いた傷です。時間をかけて、穴の内側が皮膚で覆われていくことで、落ち着いた穴になります。
下の図は、耳たぶの断面で、穴が落ち着いていく様子を表した模式図です。

図のように、穴の内側が皮膚で覆われるまでの間は、ファーストピアスが穴を保つ役目をしています。途中で外すと、穴が縮んだりふさがったりしたり、入れ直すときに傷がついたりすることがあります。
ピアスの穴が安定するまでには、体質にもよりますが、1〜2か月ほどかかります。その間は、ファーストピアスを付けたままにしてください。ピアスを外してしまうと、穴が閉じてしまいます。
開けたあとのケア
- ファーストピアスは、穴が安定するまで、外さずに付けたままにする
- 消毒の必要はありません。洗髪のときに、ピアスのまわりを水道水で洗い流す
- ピアスのまわりにかさぶたが付くことがありますが、無理に取らない(水道水で洗い流していると、自然に取れてきます)
- ピアスを回したり、抜き差ししたりしない
- さわる前には、手を洗う
- 髪や服、マスクのひもなどを引っかけないようにする
- プールや温泉など、不特定の人が入る水は、落ち着くまで控える
開けたあと、しばらく痛みがありますが、時間とともに落ち着いていきます。
診療ガイドラインでも、ピアスの抜き刺しをくり返すなど、炎症を強くする行為を避けることが、ケロイドの予防につながるとされています。
穴が落ち着いたあとのピアス選び
穴が完成したあとは、お好みのピアスに付け替えていただけます。ただし、ピアスを外したままにしておくと、穴がすぐにふさがってくることがあります。しばらくは、いつもピアスを付けておいてください。
穴が落ち着いたあとも、ピアスの素材や形によって、かぶれや傷が起こることがあります。
かぶれたことのある方は、金属の種類が分かるピアスを選び、合わないと感じたら使うのをやめてください。重いピアスや、大きく揺れるピアスは、穴に負担がかかり、穴が縦に広がったり、引っかけて裂けたりする原因になります。
寝るときや運動のときは、引っかけにくい小さなピアスにすると安心です。久しぶりにピアスを入れるときに入りにくい場合は、無理に押し込まず、ご相談ください。無理に入れると、穴の中に傷がついて、炎症やしこりのきっかけになることがあります。
起こりうること
| 起こりうること | 症状・内容 |
|---|---|
| 感染(化膿) | 赤み・腫れ・痛み・熱っぽさ・膿が出る |
| 金属によるかぶれ | かゆみ・赤み・じくじくする |
| しこり・ケロイド | 穴のまわりが硬く盛り上がる。耳はケロイドができやすい場所の1つで、軟骨のある所は耳たぶより起こりやすいとされています |
| ピアスの埋まり込み | 腫れてピアスの留め具が皮膚に埋まる |
| 耳たぶが裂ける | 重いピアスや引っかけで、穴が縦に広がったり裂けたりする |
| 位置の左右差 | 開けたあとの位置は変えられない |
| 穴がふさがる | ピアスを外したままにすると、穴がふさがることがある。ふさがったときは開け直しが必要になりますが、同じ所に開けることはできません |
赤みや腫れが強くなる、膿が出る、しこりができる、などのときは、自分でピアスを外したり押したりせずに、早めにご相談ください。
受けられない方・ご相談が必要な方
- 妊娠中・授乳中の方(受けられません)
- ケロイドができたことがある方・ケロイド体質の方(受けられないことがあります。事前にお知らせください)
- ご家族にケロイドがある方(ご相談ください)
- 金属アレルギーがある方(受けられないことがあります。事前にお知らせください)
- 開ける所に、湿疹・傷・できものがある方
- 血液をさらさらにするお薬を飲んでいる方
- 未成年の方
診療ガイドラインでは、青年期や妊娠期はケロイドができやすいため、この時期のピアスは避けるのが望ましい、とされています。ケロイドの体質がある方は、穴あけそのものを控えることをおすすめする場合があります。
未成年の方は、保護者の方の同意書と、保護者の方の同伴が必要です。
このほか、治療を受けられないことがある方
次に当てはまる方は、治療を受けられないことがあります。診察の前にお知らせください。
- 心臓の病気がある方、ペースメーカーや埋め込み式の除細動器を使っている方
- 糖尿病の合併症がある方
- 膠原病など、自己免疫の病気がある方
- 出血しやすい病気がある方、ワーファリン・アスピリンなど血を固まりにくくするお薬を飲んでいる方
- ステロイドや免疫抑制剤で治療を受けている方
- いま治療を受けている病気がある方
- お薬にアレルギーがある方
- 光過敏症の方
- 治療する所に腫れ・炎症・感染症がある方
- 治療する所に金の糸・金属のプレート・シリコンが入っている方
- 最近、ヒアルロン酸の注入やスレッドリフト(糸リフト)を受けた方
- ケロイドがある所への治療を希望する方、ケロイド体質の方
- ヘルペスウイルスに感染している方
- 日焼けをしている方
- 治療する所に入れ墨(タトゥー)がある方
よくある質問
- 痛みはありますか?
- ピアスガンで一瞬で開けます。痛みの感じ方には個人差があります。
- 軟骨(耳の上のほう)にも開けられますか?
- 開けられます。ただし、ピアスガンで開けられる範囲に限ります。
- 自分で開けるのと、何が違いますか?
- 当院では、開ける位置を印で確かめ、消毒をして、滅菌した器具とピアスで開けます。トラブルが起こったときに、診察して手当てができます。
- 当日、お風呂やシャンプーはできますか?
- 消毒の必要はありません。洗髪のときに、ピアスのまわりを水道水で洗い流してください。ピアスのまわりをこすらないようにしてください。
- ファーストピアスはいつ外せますか?
- 穴が安定するまでには、体質にもよりますが、1〜2か月ほどかかります。その間は付けたままにしてください。外してしまうと、穴が閉じてしまいます。
- 自分で持ってきたピアスで開けられますか?
- ピアスガンで、当院で用意している滅菌されたファーストピアスを使って開けます。
- 金属アレルギーがありますが、開けられますか?
- 開ける前にご相談ください。かぶれた金属や時期をお聞きして、素材を考えます。
- 中学生・高校生でも開けられますか?
- 保護者の方の同意書と、保護者の方の同伴があれば、ご相談いただけます。ケロイドができやすい時期でもあるため、慎重に考えます。
- ふさがった穴を、もう一度開けられますか?
- 開け直しが必要になりますが、同じ所に開けることはできません。ふさがった穴のまわりに、しこりや傷あとがないかを診てから、開ける位置をご相談します。
- 開けたところが赤く腫れてきました。
- 感染やかぶれのことがあります。自分でピアスを外したり押したりせずに、早めにご相談ください。
- ピアスの穴にしこりができました。
- ケロイドや、皮膚の下の袋(粉瘤)などのことがあります。大きくなる前にご相談ください。
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