耳の形の手術と赤ちゃんの耳の矯正(立ち耳・副耳・耳垂裂)
耳が横に大きく張り出している(立ち耳)、耳の前に小さな突起がある(副耳)、耳たぶが裂けている(耳垂裂)。こうした耳の形の変形は、形成外科で手術を行う分野です。耳の形を整える手術を、まとめて耳介形成といいます。生まれてすぐの赤ちゃんの耳の形は、装具で整える方法(矯正)もあります。
当院は形成外科のクリニックです。このページでは、当院で行う治療、耳の変形の見え方、赤ちゃんの時期の矯正、手術の方法と時期、保険、手術のあとの経過と過ごし方、起こりうることを、形成外科の診療ガイドラインにもとづいてまとめています。
形成外科のクリニックで、医師が診察し、手術を行います
はじめに知っておきたいこと
- どんな手術
- 皮膚を切って、耳の形を整えます。変形によっては、耳の軟骨の形も整えます。
- 麻酔
- 局所麻酔で行います。
- 抜糸
- 1〜2週間ほどで行います。
- 手術のあと
- ガーゼで固定することがあり、抜糸のあとも傷あとをテープで守ることがあります。
- 保険
- 生まれつきの耳の変形などは、健康保険が使える場合があります。
- 当院で行う治療
- 立ち耳・副耳・耳垂裂の手術と、赤ちゃんの耳の矯正(装具)です。くわしく見る
当院で行う治療
| 治療 | 内容 |
|---|---|
| 立ち耳の手術 | 耳が頭から横に大きく張り出して見える状態を、軟骨の形を整えて、頭に沿うようにします |
| 副耳の手術 | 耳の前などにある小さな突起を、根もとから取り除きます |
| 耳垂裂の手術 | 生まれつき、またはピアスやけがで裂けた耳たぶを、縫い合わせて整えます |
| 赤ちゃんの耳の矯正 | 生まれてすぐの赤ちゃんの耳の形を、耳に合わせた装具で整えます |
耳の形には、このほかの変形もあります。当院で行っていない手術が必要なときは、手術を行っている医療機関をご紹介します。
耳の変形の種類
耳(耳介)は、薄い軟骨を皮膚が包んだ形をしています。軟骨には、外側のふち(耳輪)や、内側の Y の字の山(対耳輪)、穴のまわりのくぼみ(耳甲介)などがあり、これらの形や大きさの違いで、耳の見え方が変わります。
| 名前 | 見え方 | 原因 |
|---|---|---|
| 立ち耳 | 耳が頭から横に大きく張り出して見える | 生まれつき |
| 副耳 | 耳の前などに、イボのような小さな突起がある | 生まれつき |
| 耳垂裂 | 耳たぶが裂けている | 生まれつき/ピアスやけがのあと |
ひとつの耳に、いくつかの変形が重なっていることもあります。見た目だけでは区別しにくいこともあるため、まず診察で、どの変形かを確かめます。
下の図は、耳の各部の名前を表した模式図です。

立ち耳(突出耳)
立ち耳は、耳が頭から横に大きく張り出して見える状態です。形成外科の診療ガイドラインでは、耳が過度に立ち上がった状態で、耳の内側の Y の字の山(対耳輪)がしっかりできていないことが多い、とされています。耳の穴のまわりのくぼみ(耳甲介)が深いことも原因になります。
手術では、軟骨を糸で折り曲げて固定したり、軟骨に切れ目を入れたりして、対耳輪の山を作り、耳が頭に沿うように整えます。くぼみが深いときは、軟骨を耳の後ろの骨の膜に縫い留める方法を組み合わせることがあります。ガイドラインでは、対耳輪を作る手術は有効で、合併症や再発の割合も高くないとされています。
糸を埋めるだけで切らない方法もありますが、ガイドラインでは、長い期間の成績の報告が待たれる、とされています。
下の図は、立ち耳の手術で、軟骨を折り曲げて対耳輪の山を作るようすを表した模式図です。

副耳
副耳は、生まれつき、耳の前やほおのあたりにできる、イボのような小さな突起です。中に軟骨を含んでいることが多くあります。
手術では、突起を根もとから切り取り、中に軟骨があるときは軟骨も取り除いて、傷を縫い合わせます。
耳垂裂(耳たぶの裂け)
耳垂裂は、耳たぶが裂けている状態です。生まれつきのものと、ピアスの穴が広がって裂けたもの・けがで裂けたものがあります。生まれつきのものは、裂け方や位置がさまざまです。ピアスなどで裂けたものは、組織が足りないことはほとんどありません。
手術では、裂けた所のふちを切りそろえて縫い合わせます。縫い目がまっすぐだと、傷あとが縮んで耳たぶのふちがへこむことがあるため、Z の字の形などに切って縫い合わせる方法を使うことがあります。
手術のあとに、またピアスを開けたいときは、傷が落ち着いてから、裂けた所を避けて開けます。開ける時期は、診察で傷を見てご相談します。
赤ちゃんの時期の矯正(装具)
生まれてすぐの赤ちゃんの耳の軟骨はやわらかく、耳の形の変形の中には、耳に合わせた装具をつけて形を整える方法(装具の矯正)で、手術をせずに形が良くなるものがあります。当院では、赤ちゃんの耳の矯正を行っています。
形成外科の診療ガイドラインでは、装具の矯正は有効で、早く始めるほどよく、変形によっては生後1週間以内に始めるのが望ましい、とされています。新生児期をすぎ、生後6週から6か月をこえると、十分な矯正が期待できない可能性が高いという報告もあります。
将来、手術が必要になると考えられる場合でも、手術の負担を少なくするために、まず装具の矯正を行うことが望ましいとされています。赤ちゃんの耳の形が気になるときは、できるだけ早く形成外科にご相談ください。
手術を受ける時期
| 変形 | ガイドラインの考え方 |
|---|---|
| 立ち耳 | 技術的には、時期による違いはないとされています。気持ちの面への影響を少なくするには、早い時期が望ましいとされています |
| 副耳・耳垂裂 | 変形の大きさや、麻酔の方法によって決めます |
耳は、小学校に入るころには、大人の大きさに近くまで育ちます。手術そのものが耳の育ちをさまたげることはない、とされています。お子さんの手術の時期は、診察で耳を見ながらご相談します。全身麻酔での手術が必要なときは、全身麻酔で手術を行っている病院をご紹介します。
保険について
生まれつきの耳の変形(耳垂裂など)や副耳は、健康保険が使える場合があります。厚生労働省の決まりでは、耳介形成手術は、耳垂裂などに対して行った場合に、保険で算定するとされています。保険が使えるかどうかは、診察で変形を見て判断します。
保険の手術料の目安(3割負担の場合)
| 手術 | 点数 | 3割負担の目安 |
|---|---|---|
| 耳介形成手術(軟骨の形を整えるもの) | 19,240点 | 約57,720円 |
| 耳介形成手術(軟骨の形を整えないもの) | 9,960点 | 約29,880円 |
| 副耳(介)切除術 | 2,240点 | 約6,720円 |
手術料の目安です。このほかに、診察料・検査・お薬などの費用がかかります。軟骨の形を整えるかどうかは、手術の中で決まることがあります。
手術の流れ
| 流れ | 内容 |
|---|---|
| 1. 診察 | 耳の形を見て、どの変形か、手術が合うか、保険が使えるかをご説明します |
| 2. 手術の日 | 局所麻酔をして、皮膚を切り、耳の形を整えます。場合によっては、軟骨の形も整えます |
| 3. 固定 | 傷を縫い合わせ、ガーゼで固定することがあります |
| 4. 抜糸 | 1〜2週間ほどで抜糸します |
| 5. 傷あとの手入れ | 抜糸のあと、傷あとをテープで守ることがあります |
手術のあとの経過と過ごし方
経過
- 少しの出血・赤み・腫れ・痛みが出ることがあります。出血と痛みは、数日でほとんどおさまります
- 出血が多いとき、赤み・腫れ・痛みが強くなるときは、ご連絡ください
- 抜糸のすぐあとの傷あとは、赤く硬さがありますが、少しずつ赤みが薄く、やわらかくなっていきます
- 抜糸のあと、傷あとをテープで固定することで、傷あとが早く目立たなくなる可能性があります
過ごし方
- 手術の当日は湯ぶねに入らず、シャワーだけにしてください。傷はぬらさないようにします
- 手術の当日は、お酒を控えてください
- 抜糸までは、長い入浴・サウナ・激しい運動を控えてください
- ガーゼで固定している間は、ガーゼを外さず、耳をぶつけたり押さえつけたりしないようにします
- 寝るときに耳が下になると痛むことがあります。耳を下にしない向きで休んでください
起こりうること(副作用・リスク)
| 起こりうること | 内容 |
|---|---|
| 血腫 | 傷の中に血がたまることがあります。耳が強く腫れて痛むときは、すぐにご連絡ください |
| 感染 | 傷が赤く腫れる・熱をもつ・膿が出ることがあります |
| しびれ・感覚が鈍くなる | 耳のまわりの感覚が鈍くなることがあります |
| 傷あとのケロイド | 傷あとが赤く盛り上がることがあります。耳はケロイドができやすい場所のひとつです |
| 形の戻り(再発)・左右差 | 耳の形が元に戻る、左右差が残ることがあります。修正の手術が必要になることがあります |
これらの症状があるときは、受診してください。傷あとは、完全に消えることはありません。目立ちにくくなるように縫い合わせ、テープなどで手入れをします。
手術の前にお知らせいただきたいこと
- 血液をさらさらにする薬を飲んでいる方
- ケロイドや、傷あとが盛り上がりやすい体質の方
- 耳のまわりに、湿疹や炎症がある方
- お子さんの場合は、手術を嫌がる・じっとしていられないなど、局所麻酔での手術が難しそうなとき
当てはまる場合は、手術の時期や方法を相談します。
よくある質問
- 手術は痛いですか?
- 局所麻酔をして行うため、手術中の痛みはおさえられます。麻酔の注射のときに、チクッとした痛みがあります。手術のあと、痛みが出ることがありますが、多くは数日でおさまります。
- 入院は必要ですか?
- 入院の必要はありません。局所麻酔で行う日帰りの手術です。
- 手術の時間はどのくらいですか?
- 変形の種類や、手術の範囲によって変わります。診察のときに、おおよその時間をお伝えします。
- 保険は使えますか?
- 生まれつきの耳の変形(耳垂裂など)や副耳は、健康保険が使える場合があります。保険が使えるかどうかは、診察で判断します。
- 立ち耳は何歳から手術できますか?
- ガイドラインでは、技術的には時期による違いはないとされています。お子さんの場合は、局所麻酔で手術ができるかどうかも考えて、診察で時期をご相談します。
- 赤ちゃんの耳の形が気になります。
- 生まれてすぐの時期は、装具の矯正で、手術をせずに形が良くなることがあります。当院では、赤ちゃんの耳の矯正を行っています。早く始めるほどよいとされているので、できるだけ早くご相談ください。
- ピアスで裂けた耳たぶは治せますか?
- 裂けた所のふちを切りそろえて縫い合わせる手術で治すことができます。ピアスで裂けたものは、組織が足りないことはほとんどありません。
- 手術のあと、またピアスを開けられますか?
- 傷が落ち着いてから、裂けた所を避けて開けることができます。時期は、診察で傷を見てご相談します。
- 眼鏡やマスクはいつから使えますか?
- ガーゼで固定している間は、耳に当たらないようにご注意ください。使い始める時期は、傷の具合を見てお伝えします。
- 手術のあとに形が戻ることはありますか?
- 耳の形が元に戻る(再発する)ことや、左右差が残ることがあります。その場合は、修正の手術が必要になることがあります。
- 傷あとは残りますか?
- 傷あとは完全には消えません。目立ちにくくなるように縫い合わせ、抜糸のあともテープで傷あとを守ることがあります。
- 運動やお風呂はいつからできますか?
- 手術の当日はシャワーだけにして、傷はぬらさないようにします。抜糸までは、長い入浴・サウナ・激しい運動を控えてください。
参考にした資料
日本形成外科学会・日本創傷外科学会・日本頭蓋顎顔面外科学会 編.形成外科診療ガイドライン2 頭蓋顎顔面疾患(先天性・後天性)2021年版.金原出版
厚生労働省.令和8年度 診療報酬点数表(医科)と留意事項通知
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