脂肪溶解注射のしくみ
皮膚の下には、脂肪細胞が集まった脂肪の層(皮下脂肪)があります。脂肪溶解注射は、この脂肪の層に薬を注射して、脂肪細胞にはたらきかける治療です。
下の図は、皮膚の断面で、注射する層を表した模式図です。

図のように、薬は脂肪の層の中に入れます。皮膚のすぐ下(真皮)や、その下の筋肉には入れないようにします。浅すぎる所に入ると、皮膚の傷みやしこりの原因になることがあるため、医師が部位と深さを確かめながら注射します。
下の図は、脂肪細胞を拡大した模式図です。

デオキシコール酸は、もともと体の中で脂肪の消化を助けている成分(胆汁酸)の一種です。注射した所では、脂肪細胞を包む膜にはたらいて、細胞を壊すと考えられています。
壊れた細胞は、そのあと時間をかけて体の中で片づけられていきます。注射した所には、炎症(腫れ・熱っぽさ)が起こり、少しずつ落ち着いていきます。変化が見えてくるまでの時間や、変化の大きさには個人差があります。
顔の脂肪と、年齢による見え方の変化
顔の脂肪は、1つのかたまりではなく、いくつかの区画に分かれて、皮膚の下に重なっています。年齢を重ねると、ある所の脂肪はやせ、ある所の脂肪は下がったり厚く見えたりして、顔の輪郭の見え方が変わっていきます。
たとえば、頬の高い所の脂肪がやせて下がると、フェイスラインの下のほうにもたつきが出て、脂肪が増えたように見えることがあります。この場合、もたつきの所の脂肪を減らすだけでは、頬の高い所のこけが目立つことがあります。
そのため、脂肪溶解注射は、どこの脂肪を減らすと全体のバランスが整うかを考えて、範囲をしぼって行います。脂肪が少ない方や、頬がこけやすい方には、ほかの方法をおすすめすることがあります。
当院で使う薬
当院では、脂肪溶解注射の薬として、チンセラプラスを使っています。チンセラプラスは0.8%のデオキシコール酸を配合した製剤です。顔にも体にも、同じチンセラプラスを使います。
チンセラプラスは、国内で承認を受けていない医薬品です。当院の医師の判断で、個人輸入しています。国内未承認の医薬品であることを、施術の前にご説明します。
- チンセラプラスは、国内で医薬品医療機器等法上の承認を受けていない医薬品です。
- 当院の医師の判断により、医師免許に基づき、海外メーカーの製品を個人輸入しています。輸入は、国内の正規代理店を通して行っています。個人輸入された医薬品等のリスクについては、厚生労働省の案内ページ「個人輸入において注意すべき医薬品等について」(https://www.yakubutsu.mhlw.go.jp/index.html)をご覧ください。
- チンセラプラスについて、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
脂肪溶解注射として使われる薬には、いろいろな製品があり、製品によって成分や濃さが違います。当院で扱っているのは、チンセラプラスだけです。
対象となるお悩みと部位
脂肪溶解注射が向くのは、皮膚の下の脂肪によって、ふくらみが気になる所です。
| 部位 | 気になる見え方 |
|---|---|
| フェイスライン・頬 | 頬の下のほうやフェイスラインの、脂肪によるふくらみ |
| あご下 | あごの下の脂肪によるふくらみ(二重あご) |
| 体 | 二の腕・おなか・ウエスト・お尻・太ももなどの、部分的な脂肪 |
脂肪ではない原因のとき
フェイスラインのもたつきや二重あごに見えるものでも、原因が脂肪ではないことがあります。皮膚のたるみが主な原因のときは、引き上げる治療(糸やハイフなど)が向くことがあります。かむ筋肉(咬筋)の発達によるエラの張りには、ボトックス注射が向くことがあります。骨格によるものは、注射では変わりません。
診察では、つまんで脂肪の厚みを確かめたり、表情や姿勢で見え方が変わるかを見たりして、どの方法が合うかを考えます。
なお、脂肪溶解注射は、体重を減らす治療ではありません。部分的なふくらみに対して用いるものです。
部位ごとのポイント
頬・フェイスライン
頬の下のほうからフェイスラインにかけては、脂肪のほかに、皮膚のたるみや、かむ筋肉、あごの骨の形が、見え方に関わります。脂肪が主な原因の所に、範囲をしぼって注射します。
頬の高い所や、目の下に近い所は、脂肪が減ると、かえってこけて見えたり、年齢が上に見えたりすることがあるため、注射する範囲を慎重に決めます。
あご下
あご下は、首を曲げたときや、うつむいたときに、ふくらみが目立ちやすい所です。あご下の脂肪のほかに、首の皮膚のたるみや、あご先の骨の小ささが、二重あごに見える原因になっていることもあります。
あご下の近くには、口元を動かす神経が通っています。注射する範囲は、あごの骨の縁から少し離した所にとどめます。
体
二の腕やおなか、ウエスト、お尻、太ももなどの、部分的な脂肪に用いることがあります。体は顔より範囲が広いため、使う量が多くなります。体の脂肪は、食事や運動、体重の変化の影響も受けるため、生活の見直しとあわせて考えます。
注射でできること・できないこと
脂肪溶解注射は、注射した所の脂肪細胞にはたらきかける治療です。注射しなかった所の脂肪には、はたらきません。部分的なふくらみを整えることを目指す治療で、全身の脂肪を減らしたり、体重を落としたりするものではありません。
また、皮膚のたるみを引き上げる力はありません。脂肪が減ったあとに、皮膚のゆとりが目立つことがあるため、たるみがある方は、引き上げる治療との組み合わせを考えることがあります。
注射した所の脂肪細胞が減っても、そのあとの食事や生活によって、残った脂肪細胞が大きくなることはあります。治療の前と後の生活も、見え方に関わります。
カウンセリングでお聞きすること
- いちばん気になる所と、どのくらいの変化を望んでいるか
- 体重の変化(最近増えた・減った)と、これからの予定
- これまでに受けた美容の施術(糸・ヒアルロン酸・ボトックス・脂肪溶解注射など)と、その時期
- 持病・飲んでいるお薬・アレルギー・妊娠や授乳の予定
- 大切な予定(結婚式・撮影・旅行など)の日
体重が大きく変わっている途中の方は、変化が落ち着いてから考えるほうがよいことがあります。また、腫れや内出血が出ることがあるため、大切な予定がある方は、その日から逆算して施術の日を決めます。
ほかの施術を受けたことがある所は、糸や注入物の位置によって、注射の範囲を変えることがあります。分かる範囲でお知らせください。
施術の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 カウンセリング・診察 | 気になる部位をお聞きし、脂肪の厚み・皮膚のたるみ・骨格を見ます。持病・お薬・妊娠や授乳の有無、アレルギーをお聞きします。 |
| 2 ご説明・同意 | 国内未承認の医薬品であること、注射する量と部位、起こりうること、費用をご説明し、同意をいただきます。 |
| 3 デザイン | 注射する範囲に印をつけます。 |
| 4 注射 | 細い針で、脂肪の層に少しずつ注射します。注射のときのチクッとした痛みや、薬が入るときのしみるような感じがあります。痛みが心配な方は診察でご相談ください。施術の時間は、注射する範囲と量によって変わります。 |
| 5 注射のあと | 注射した所の腫れや赤みを確かめて、お帰りいただきます。当日の過ごし方をお伝えします。 |
| 6 経過 | 腫れが落ち着いたあとに変化を見て、次の注射を考えるかどうかをご相談します。 |
回数と間隔の考え方
変化の出方には個人差があり、1回で満足される方もいれば、何回か重ねる方もいます。効果には個人差があるため、予定より多い回数の注射が必要になることもあります。注射のあとは、腫れや炎症が落ち着くのを待ってから、次の注射を考えます。
量を多くすれば早く変わる、というものではありません。一度にたくさん入れると、腫れやしこりが強く出ることがあるため、部位に合った量を守ります。回数や間隔は、注射のあとの経過を見て、そのつどご案内します。
起こりうること
| 時期・部位 | 起こりうること |
|---|---|
| 注射した所 | 赤み・腫れ・熱感・内出血・かゆみ・痛み・鈍い痛み(鈍痛) |
| 数日から数週間 | しこり・硬さ・押したときの痛み・感覚の鈍さ |
| 顔・あご下 | まれに、口元が一時的に動かしにくい・笑ったときの左右差(近くを通る神経への影響) |
| そのほか | 左右差・凹凸・皮膚の傷み・感染・アレルギー症状 |
注射した所は、腫れや熱っぽさが出るのが一般的です。腫れの程度や続く時間には個人差があります。しこりは、まれに長引くことがあります。
治療の効果には個人差があります。
強い痛み、皮膚の色が白っぽくなる・黒ずむ、熱が出る、口元が動かしにくい、などのときは、すぐにご連絡ください。
注射のあとの経過
| 時期 | 起こりやすいこと |
|---|---|
| 注射の当日〜数日 | 注射した所に、腫れ・熱っぽさ・赤み・痛みが出ることがあります。あご下では、首まわりがきつく感じることがあります。 |
| 数日〜数週間 | 腫れが少しずつ引いていきます。鈍い痛みや、押すと痛む・硬い・しこりがある、と感じることがあります。しこりは、まれに長引くことがあります。内出血が出たときは、黄色っぽく変わりながら薄くなっていきます。 |
| 腫れが落ち着いたあと | 変化を確かめて、次の注射を考えるかどうかをご相談します。 |
腫れや硬さの程度、落ち着くまでの時間には個人差があります。表の内容より強い症状や、長く続く症状があるときは、ご連絡ください。
受けられない方・ご相談が必要な方
- 妊娠中・授乳中の方(受けられません)
- 注射する所に、湿疹・傷・感染・できものがある方
- 薬の成分にアレルギーを起こしたことがある方
- 血液をさらさらにするお薬を飲んでいる方・出血しやすい方
- 顔の神経の病気や、飲み込みにくさのある方(顔・あご下)
持病やお飲みのお薬がある方は、診察のときに必ずお知らせください。
このほか、治療を受けられないことがある方
次に当てはまる方は、治療を受けられないことがあります。診察の前にお知らせください。
- 心臓の病気がある方、ペースメーカーや埋め込み式の除細動器を使っている方
- 糖尿病の合併症がある方
- 膠原病など、自己免疫の病気がある方
- 出血しやすい病気がある方、ワーファリン・アスピリンなど血を固まりにくくするお薬を飲んでいる方
- ステロイドや免疫抑制剤で治療を受けている方
- いま治療を受けている病気がある方
- お薬にアレルギーがある方
- 光過敏症の方
- 治療する所に腫れ・炎症・感染症がある方
- 治療する所に金の糸・金属のプレート・シリコンが入っている方
- 最近、ヒアルロン酸の注入やスレッドリフト(糸リフト)を受けた方
- ケロイドがある所への治療を希望する方、ケロイド体質の方
- ヘルペスウイルスに感染している方
- 日焼けをしている方
- 治療する所に入れ墨(タトゥー)がある方
注射のあとの過ごし方
注射した所は、腫れや熱っぽさが出ることがあります。気になるときは、清潔なタオルで包んだ保冷剤などで、軽く冷やしてください。
注射した所のお化粧は、翌日からできます。当日の入浴・シャワーはできますが、長い入浴・サウナ・激しい運動は控えてください。当日は、注射した所を強くもんだり押したりしないでください。
翌日からは、適度な入浴や運動、リンパの流れを助けるような軽いマッサージをおすすめしています。
あご下やフェイスラインに注射したあとは、腫れのため、首まわりがきつく感じることがあります。腫れが続く・強くなる、口元が動かしにくい、などのときは、ご連絡ください。
当院のほかの方法との違い
| 方法 | しくみ | おもに向く悩み |
|---|---|---|
| 脂肪溶解注射 | 脂肪の層に薬を注射して、脂肪細胞にはたらきかける | 部分的な脂肪のふくらみ |
| ハイフ(HIFU) | 超音波の熱を皮膚の奥に届ける | 皮膚のたるみ・引きしめ |
| スレッドリフト(糸) | 皮膚の下に糸を入れて、組織を引き上げる | たるみによるもたつき |
| ボトックス注射(エラ) | かむ筋肉の働きを弱める | 筋肉の発達によるエラの張り |
フェイスラインのもたつきは、脂肪・たるみ・筋肉・骨格がいくつか重なっていることが多くあります。どの方法を、どの順で組み合わせるかを、診察でご相談します。スレッドリフトのページもご覧ください。
費用(自由診療)
| 部位 | 量 | 費用(税込) |
|---|---|---|
| 顔 | 1cc | 13,200円 |
| 顔 | 3cc | 37,950円 |
| 顔 | 5cc | 60,500円 |
| 顔 | 10cc | 110,000円 |
| 顔 | 15cc | 148,500円 |
| ボディ | 8cc×1回 | 60,500円 |
| ボディ | 8cc×3回 | 181,500円 |
| ボディ | 16cc×1回 | 110,000円 |
| ボディ | 16cc×3回 | 330,000円 |
自由診療のため、健康保険は使えません。治療回数・治療期間は個人差があります。診察のうえでご案内します。
よくある質問
- 脂肪溶解注射は、どんな人に向いていますか?
- 皮膚のたるみではなく、皮膚の下の脂肪によって、部分的なふくらみが気になる方に向いています。向くかどうかは、診察で確かめます。
- 1回で変わりますか?
- 変化の出方には個人差があり、1回で満足される方もいれば、何回か重ねる方もいます。予定より多い回数の注射が必要になることもあります。経過を見てご案内します。
- 痛みはありますか?
- 細い針で注射します。注射のときのチクッとした痛みや、薬が入るときのしみるような感じがあります(感じ方には個人差があります)。痛みが心配な方は診察でご相談ください。
- 腫れますか?
- 注射した所は、腫れや熱っぽさが出るのが一般的です。程度や続く時間には個人差があります。
- 注射のあと、仕事や学校に行けますか?
- 行くことができます。腫れや内出血が出ることがあるので、大切な予定の直前は避けると安心です。
- 体重は減りますか?
- 体重を減らす治療ではありません。部分的なふくらみに対して用いるものです。
- チンセラプラスは安全な薬ですか?
- 国内で承認を受けていない医薬品で、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。起こりうることを、施術の前にご説明します。
- 妊娠中・授乳中でも受けられますか?
- 受けられません。
- ほかの施術と同じ日に受けられますか?
- 組み合わせによります。診察でご相談ください。
- 運動やお風呂はいつからできますか?
- 当日の入浴・シャワーはできますが、長い入浴・サウナ・激しい運動は控えてください。翌日からは、適度な入浴や運動をおすすめしています。
- 注射した所が硬くなりました。
- 注射のあとに、しこりや硬さが出ることがあります。多くは時間とともにやわらかくなっていきますが、気になるときはご相談ください。
- ほかのクリニックで脂肪溶解注射を受けたことがあります。
- いつ、どこに、何という薬を注射したかを、診察のときにお知らせください。
- 注射のあと、マッサージをしてもいいですか?
- 当日は、注射した所を強くもんだり押したりしないでください。翌日からは、リンパの流れを助けるような軽いマッサージをおすすめしています。
- 顔の脂肪を減らすと、たるみませんか?
- 脂肪が減ったあとに、皮膚のゆとりが目立つことがあります。たるみがある方は、引き上げる治療との組み合わせを考えます。
- 注射のあと、すぐにお化粧はできますか?
- 注射した所のお化粧は、翌日からできます。注射した所以外のお化粧は、当日からできます。
- 二重あごが気になります。
- あご下の脂肪によるものか、皮膚のたるみや骨格によるものかで、合う方法が変わります。まず診察でご相談ください。
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- 《受付時間》9:30 - 17:00
〈診療時間〉
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